海宝堂2〜魔女の館〜

触れた唇から血の味がする。
それは、自分のものか、それともガルのものかはわからない。

唇が離れ、顔を上げると、視線がぶつかった。

ガルは、笑っていた。

「何よ…今の…」

「シーファ…俺…」

「いやよっ!こんな時に言わないでっ!」

そんな、心残りを無くすみたいに…

「…すまん…でも…」

「でもも何も、元気になって!それから聞くから!ガル…お願い…だから…そんな…」

弱気にならないで…。
あんなキスだけ遺して、行かないで…。

言葉の変わりに涙が落ちる。