海宝堂2〜魔女の館〜

左肩から斜めに真っ赤な線が伸び、今もなお、血が水たまりのように広がっていく。
リュートもニーナも服を脱いで、傷に押しつける。しかし、ただ、赤く染まっていくだけで止まってくれない。

「医者!医者は!?」

「くそっ!どこにいんだよ!ぶっ倒れてたら…」

ニーナとリュートが必死になって叫ぶ中、シーファは動けずにいた。
倒れているガルも、大量の血も、その目に映るものが信じられない。
信じたくないのに、目からは涙が溢れて止まらない。

ガルがゆっくりと手を差し出す。

「ガル、動かないでっ!」

ニーナが叫ぶが、ガルはシーファを見つめてその手を伸ばす。

「ガル…ガルっ!」

伸ばされた手を掴み、その傍らに座りこむ。
握られた手とは逆の手には、変わり果てた姿となった魅音があった。