海宝堂2〜魔女の館〜

「…彼…?」

朦朧とする意識の中、目を開けて魔女を見る。
ダートンは刺さった剣を取りに離れ、魔女はシーファを睨みつけ、続ける。

―私の方が、優秀なのにっ!
あんな…王家のしきたりも守らない女に負けるはずがないのよッ!

…お前が、お前さえ死ねば、彼は私のものだったのよぉおっ!!―

自分で何を言っているのか分かっているのだろうか?
狂ったように叫ぶ魔女の言葉に、シーファはあの日みた夢を思いだす。

皆の記憶が無くなったあの時に見た夢。
大好きな人に背を向けられ、別の誰かと行ってしまうのを、何も出来ずに、ただ泣き叫ぶしか出来ずに、見送ったあの夢。