海宝堂2〜魔女の館〜

粉塵が消え、そこにあるはずのシーファの死体がないことに、魔女は動揺を隠し切れないでいた。

「どこに行ったの!?」

魔女の言葉に答えるかのように、ダートンが上を見上げる。
それを追うように魔女が見上げると、シーファはメインマストのヤードにぶら下がっていた。
シーファはガルをちらりと見た。
明らかにほっとした顔のガルに小さくうなづいてみせる。

と、その間にダートンが割りこみ、長剣を下から振り上げる。
シーファはヤードの上に上がると、横に飛び、剣をかわす。かわされた剣はヤードを斬る、その切り口は見事だ。
かわされた剣をダートンはそのままシーファに向かって、横に薙ぐ。

こんな長剣をこんなに軽々と扱えるダートンはやはりかなりのスゴ腕だ。いつまでも避け切れるものではなさそうだ。ならば…

ヤードから飛び降り、頭の上を剣が通って行くのを感じながら、シーファは甲板に降り立った。

「……。」

目の前に降りてこられた魔女は逃げようとも、動こうともしない。