必死にそう言ったけれど、森下先生に押し出され、今、戸が閉まろうとしている。
そして、閉まろうとしている戸と柱の間にはまだ和也君が見えた。
輝きのない瞳、
それとは裏腹に、
私に向けられたぎこちない笑顔。
……無理に笑顔作らないで…。
そう思った時、戸がぴしゃりと閉められ、和也君の姿は完全に見えなくなった。
…あんな顔させたのは、私自身なんだよね……。
元気な和也君にあんな顔似合わないよ……。
落ち込んでいたら、あらがうこともやめ、私はただ俯いていた。
「何を考えているんだ!?謹慎中だろう!」
当然、先生は私のことを叱っている。
でも、今はそんな言葉も頭の中にはとどまらず流れていく。
今はそんなことよりも、和也君を助けることが優先だ。
今は少しでも私にできることをしたい。
もう和也君にあんな顔をさせないために――。


