――私は、今職員室に向かっている。
さっき手短に理香から話を聞いたんだ。
状況を聞くと、その先輩が和也君に突っかかってきたのだという。
そして、言葉で反論した和也君に、先輩の方が先に手を出したのだと。
話を聞いて、私はその先輩に、余計に腹が立った。
和也君は真っ直ぐすぎるところがあるけれど、そんな簡単に手をあげる人じゃない。
いつも自分のことより、他人のことを思いやれる人。
そんな和也君に、私も将太も助けられた――。
そして、また今回も私のために……。
だから、今度こそ和也君を守りたい。
もうこれ以上巻き込みたくないの!
目の前に見えた職員室の戸をガラッとあける。
すると、全員がその勢いのいい音に驚き私を見た。
もちろんその中には、和也君の姿も……。
「――折原先輩…。」
目を見開いて私の名前を言う和也君に、私は心の中でごめんねと呟いた。
「あの、突然すみません!!でも、どうしても聞いてほしいことがあるんです。さっきの一件、竹内君はっ」
「ちょっと待て、折原!一旦出ろ!」
眉根を寄せ険しい顔をした森下先生が声を荒げて言いながら、私を職員室の外に押し出していく。
「待ってください、先生!!」


