――私と将太が落ち着いて、席に着くと、おじいちゃんがある話を切り出した。
「もし2人がよかったらなんだが、私達と一緒に暮さないか?」
……一緒に暮らす…。
ずっとこのまま将太と2人暮らしだと思っていた私にとっては、衝撃的だった。
「もちろんゆっくり考えてくれればいい。」
優しくそう言うと、こう続けた。
「それから、田中さんにはお世話になったそうだね?田中さんには私からお金を返そうと思う。これからは、今まで会えなかった分も君達におじいちゃんらしいことをしてあげたい。」
うまく言えないけど、特に最後の言葉は嬉しかった。
お父さんとお母さんが亡くなって2人きりになってしまったと思っていたけど、違かったんだって思えたの――。
「ありがとうございます――。」
「お礼を言われるようなことじゃない。さやかちゃんと将太君は私達の孫だ。もっといろんなことをしてあげたいと思っているんだ。では、そろそろ私達は行くよ。」
そう言って、おじいちゃんは席を立つ。
すると、おばあちゃんが私に連絡先の書かれた紙を手渡してきた。
「ゆっくりでいいから、いつでも連絡してちょうだい。よく考えてみて。」
「はい。」
私はゆっくりその紙を受け取った。
「じゃあね、将太君、さやかちゃん。」
そうして、おじいちゃんとおばあちゃんは帰っていった。


