「それは違うわ、さやかちゃん。全部話は聞いたけど、さやかちゃんは何も悪くないわ……。」
おばあちゃんは自分の娘が亡くなったと聞かされて悲しいはずなのに、目に涙を浮かべながらも、私を気遣ってくれた。
そんなところがどこかお母さんと似ていて、ついお母さんを思い出す。
「そうだ、さやかちゃんは悪くない。悪いのは、かわいい子供を2人も残して、さっさと逝ってしまった2人だ。こんなことだから……、反対したんだ…。」
おばあちゃんとは違っておじいちゃんは、ふし目がちだけど厳しい一言を言う……。
すると、その時将太が少し怒ったように口を開いた。
「……お父さんとお母さんのこと悪く言うな。お父さんとお母さんはすごく優しかった。」
「将太――。」
私は隣に座っている将太の肩に手をまわし、なだめるようにぽんぽんと叩いた。
確かにあの言葉は厳しかったけど、
……でも、その裏には……、
優しさと悲しさが詰まってたと思うの、私は――。
「……悪かった…。そうだな、君達にとってはいい親だったんだな――。」
おじいちゃんの口から発せられた静かで優しい言葉。
やっぱりそうだ……。
おじいちゃんは誰よりもお母さんのこと心配してただけ。
反対してずっと会わずにいたのに、心配してわざわざ来てくれたのだから――。


