「全然知りませんでした……。」
本当に何も知らなかった。
私の心の中が色々な驚きでいっぱいになっていく。
「その手紙にあなたたちの写真がいつも入っていてね、会ったことはなかったけれど、私達はあなたたちのこと知っていたのよ。」
「…そう…だったんですか…。」
じゃあ、あのアルバムの所々にあった空白は、お母さんが手紙に入れるのに抜き取ったものってこと――。
あの時疑問に思ったことが、まるでパズルのピースが埋まるように、ピタリとはまっていく。
「……でもね、今年はその手紙が来なかったの。そうしたら、あんなに反対していた主人がひどく心配しだしてね。」
「お前、何を言っているんだ。私はただ子供たちをちゃんと育てているのか心配になってだな……。」
おじいちゃんがおばあちゃんに食ってかかるように反論すると、おばあちゃんは簡単にたしなめるように微笑んで話を続けた。
「まあ、そんなわけでこの間、手紙に書いてあった住所を尋ねてみたのよ……。それで、お隣の田中さんに話を聞いたわ……。」
おじいちゃんは固い表情を崩さなかったけれど、おばあちゃんの表情は沈んだものになっていった。
……あのことに違いない……。
話を始める前に話そうかとも思ったけど、勇気がなくて話し出せなかった……。
でもこれは私が話さなきゃ――。
「……お父さんとお母さんが……死んだのは……、私が原因なんです……。」


