「……森下…先生…。」
心にもやもやと霧が立ちこめてくる。
きっとあのことで来たのだろう――。
「折原、あれは見たか?」
私は先生の問いに元気なく頷く。
「そのことで聞きたいことがある。一緒に職員室に来てくれ。」
「はい……。」
どうなってしまうのだろうという不安を抱えながら、返事をした。
そして、歩きだす先生の後ろを私は重い足取りでついていく。
「先生、待ってください!」
「誤解です、先生!!」
突然2人の声が耳に響く。
先生は足を止め、振り返ってくれたけど、これは私から話さなくちゃいけないこと……。
私はくるりと向きをかえ、作り笑いもすることなく、2人の目を順に見て告げた。
「大丈夫だから。私のことは気にしないで。」
今の私にはこれしか言えない――。
みんなに迷惑かけたくないんだよ……。


