いつも和也君は、どんな状況でも、笑顔にかえてしまう――。
私はもう何度もその笑顔に、勇気や元気をもらった気がする。
「先輩、俺、こんなことした犯人見つけて、とっちめてやりますよ!」
和也君は拳を握り、意気込んでそう言った。
……気持ちは、……すごく嬉しかった。
だけど、もうこれ以上、巻き込むわけにはいかない。
まだ心の中に陸人のことがあって、
和也君の気持ちにこたえられない私が、
あんなに優しくていい子を
もうこれ以上
巻き込んじゃいけない――。
「和也君、あとは自分でなんとかするよ。これは、私の問題だから……。」
それに…――、
「それに、あれに書いてあったことは、まるきり嘘じゃないし……。」
私は俯き、涙を堪えながら、下唇を噛んだ。
校則を破ってバイトしてたことは事実だし……、
付き合っている人がいたのに和也君と一緒にいたら、誤解されても仕方ないかもしれない……。


