「嫌です。そんなのできません!」
和也君の意思は固く、手に握られた紙は更にぐしゃっと音をたてた。
和也君や周りの反応から、ただ事ではないのがよくわかる。
でも、私の頭の中は意外にも落ち着いていた。
少しは強くなれたのかな?
ううん、頭がおかしくなったっていうのが正解なんだろうなぁ。
私は心の中で自分を嘲笑った。
「和也君、お願い――。それに書いてあるの私のことでしょ?見せて。」
私は怒りに震える和也君の手を、両手でそっと包み込んだ。
和也君はとても悔しそうな顔をしつつ、観念したように手の力を緩めていく。
「――ありがとう。」
私は緩んだ和也君の手から、ぐしゃぐしゃにされた紙をゆっくり取り出す。
……本当は見たくなんかない。
すごくこわいから。
でも、自分のことなら見ないわけにはいかないでしょ……?
ちゃんと知らないといけないでしょ…。
だから、恐る恐るしわを伸ばし、紙を広げていく――。
――たとえそこに、どんなことが書かれていたとしても……。


