聞き覚えのある声が、怒りに満ちた声で訴えっているのが聴こえた。
でも、それより気になったことは、
……私の…名前が…出たこと……。
「……なん…で……?」
私の見える世界が一瞬でスローモーションになる――。
みんなの視線が私にだけ集まる。
普段の視線とは違って、トゲのあるとてもとても痛い視線。
……何で?
この先に何があるの?
私はみんなが振り返ってできた細い道にゆっくりと歩み出す。
周りはきっとすごくざわついているんだろう。
でも、私の感覚はほとんどシャットアウトされていて、小さなノイズ程度にしか聴こえない。
ただ、今の私は、無意識に前に出る足で、この道の先にあるおそろしいものを見ようとして進むだけ。
人集りを抜けた掲示板の前には、とても苦々しい表情を浮かべた和也君がいた。
その怒りのこもった手には、ぐしゃぐしゃにされた紙が恨めしそうに握られている。
……原因は、これか…。
「和也君、見せて。」


