振り返れば、急ぎ足で長い黒髪を揺らしながら、私のもとへ一人の女の子が向かってきている。
「……あっ、愛奈ちゃん!」
私はびっくりしながら、名前を呼ぶ。
すると、私のもとまで来た愛奈ちゃんは、花が咲いたようなキラキラした笑顔を浮かべ、軽く会釈した。
「こんにちは。先輩、お一人ですか?」
愛奈ちゃんが少し首を傾げて聞いてくる。
「うん。そういえば、愛奈ちゃん、いつものお友達は…?」
確か、初めて会ったときも、和也君を訪ねに行って会ったときも、いつも3人だったよね。
3人の雰囲気がすごかったから覚えてる…。
「あぁ、あの2人は家の方向が違うんです。だから、登下校はだいたいいつも一人なんです…。あの、……よろしければ途中までご一緒してもいいですか?」
上目遣いに、やわらかい声音で、私にそう言う愛奈ちゃん。
そして、一瞬ぎくりとする私。
住んでいるところ、バレない方がいいよね。
愛奈ちゃんの家がうちより手前ならいいけど……。
…でも、断りにくいよぉ。
「う、うん、いいよ…。」
きっと今の私の表情は引きつってるんだろうなぁ。
結局断れなかった………。


