「…はぁ……。俺はさやかの辛さ、何も代わってやれないんだよな……。」
今までに聞いたことがないほど弱々しい陸人の声…。
「代わってやれもしないのに、さやかを…引き止めたいって今も心の奥で思ってる……。」
何か言葉にしたいのに、何も言葉にできなくて、私は陸人の胸を濡らした。
「さやかが心配でしょうがないんだ。……いや、…俺自身が心配なんだろうな。」
陸人はため息まじりに、さみしく笑う。
すると、陸人が私の両肩をつかんで、体をはなすと、
陸人の顔がすぐそばにあった。
……息がかかるほどに―――。
そして、黒い前髪の間から見える少し赤くなった真剣な目に、私がうつってる。
「なあ、これから、…一人で無理するなよ。絶対だぞ。」
「…もう、陸人は心配性なんだから。」
私は目を細めて笑った。
その瞬間、また目にたまった涙がすじになって零れていく―――。


