「……そうだよね。…わかった。またね、陸人。」
さみしい気持ちを押し殺し、陸人のそばを離れて、階段の登り口まで駆けていく。
「会えて嬉しかったよ、陸人。ありがとう。」
私は笑顔で振り返り、そう言った。
だって、そばにいたら引き止めてしまうと思うから………。
……我儘言って、陸人を困らせたくないから―――。
「じゃあな、さやか。」
陸人は小さく微笑んで手を振ってくれた。
そして、背を向け歩き出す。
一歩また一歩と、陸人が遠くなっていく。
………陸人の広い背中が、
だんだんと小さくなって……、
闇の中に見えなくなっていく―――。
――本当は今すぐ陸人のそばに駆け寄りたかった―――。
…でも、そんなことはできなくて……、
陸人の姿が見えなくなるまで、ただその場で見送ったんだ……。


