「…でも、少しぐらい寄っていけば?」
平静を装い、また笑顔を作りながら、願いを込めて陸人の手をそっととてってみる。
その手はずっと外にいたせいか、私の手よりもひんやりしていた。
ねえ……、お願いだから…、
もう少しだけそばにいて………。
本当にあと少しでいいから……。
「……ごめん。もう遅いし今日は帰るよ。雨まだ降ってるから早く中入れよな。じゃあな。」
するりと離れた手―――。
頭ではわかってた。
予定にもなかったのに、こうして突然、少しでも会えたことは、幸せなことだって―――。
でも、心は……、実際に会うと、もっと一緒に居たいって思っちゃうの。
本当に私は欲張りだよね………。


