私は自分を落ちつかさせて、陸人に和也君を紹介することにした。
「あ、陸人。この人は竹内和也君っていって、私の後輩なの。家がバイト先の方でね、雨が降ってたから送ってくれたの。それから、うちの事情も知ってるから大丈夫よ。」
私が紹介し終えると、和也君はぺこっと頭を下げた。
「そうだったのか。竹内君、初めまして。俺は」
「陸人さんですよね?折原先輩の……彼氏の…」
自己紹介する陸人の言葉を遮って、和也君が言う。
すごく真剣な瞳、元気のない声―――。
それはいつもの明るくて元気な和也君とは違っていた。
「もう俺のこと知ってたんだね……。今日は、さやかを送ってきてくれてありがとう。」
「いえ、お礼を言われるようなことじゃないです。」
陸人がお礼を言うと、淡々と言葉を返す和也君。
なんだか2人の間にある空気が重く感じられた。
でも、私はどうしたらいいかわからなくて、黙って2人のやり取りを見てるだけ………。


