すると、道の左側に、街灯に侘しく照らされたアパートが見えてきた。


「和也君、うちのアパートそこよ。」


私は自転車をおしながら、右手でアパートを指差す。


「あっ、そこっすか。」


和也君もアパートの方へと視線を移した。


「かなり古いアパートだけどね。家賃が安いから。」


私は自嘲気味に和也君に話す。


「うちも似たような感じですよ。母さん、大変なんで。うちの方がボロいかも。」


あ…、和也君、お母さんと2人暮らしなんだよね…。


ハハハと笑って言う和也君に、何と返していいかわからず、私は苦笑いした。


和也君っていつも明るいよね―――。


そんなことを思いつつ、アパートの敷地へと入り、自転車をとめる。


「和也君、遠くまで送ってきてくれて、あ………」


えっ、うそ………!?


私は言葉を失い、固まった。



なぜなら、ずっと会いたかった人がそこにはいたから―――。