少し間をおいて、和也君が言う。


「将太、お姉ちゃんのこと、本当はすごく好きなんすよね。素直じゃないだけで。」


私は前に向き直って、照れ笑いした。


「あっ、特にこのことは絶対に絶対に秘密ですよ!」


そして、焦ったように付け加える和也君。


「わかってる。約束するよ。だって、こんな嬉しいこと聞かせてもらえたんだもん。」


ふふっと笑いながら、私は約束した。



―――今、私はすごく幸せだ。


お父さんとお母さんが亡くなった時、もう笑えないと思った。


もう幸せなんて感じられないと、思った…。


でも、今はこんなに笑える―――。


嬉しいことがたくさんある。


理香の想いが実ったこと、


将太がそんなふうに思っていてくれたこと、


私はすごくすごく幸せだ―――。