何で私なんかのためにそんな一生懸命になってくれるのよ…?
そして、私は少し微笑んだ。
「ありがとう。でも、いいんだよ。渡辺さんに借りることもできるし。」
「あっ、そうっすよね。つい…。」
そう言って、和也君は恥ずかしそうに頭をかく。
「そんな顔しないで。嬉しいよ。でも、傘一本だけ?」
私は和也君がギュッと握りしめる一本の黒っぽい傘を見つめ、問いかけた。
これじゃあ和也君が濡れちゃう。
「あぁ、大丈夫っすよ。今日は先輩を送ろうと思ってるんで。」
「………えっ!?」
送るぅ!!!!
私は驚き目を見開く。
「いいって!遠いし!」
胸の前で両手を思いきり振って、遠慮した。
―――だって、送ってもらうなんて…。ねぇ………。


