「さやか!どこ行くの!?はなして!!」
そう強く訴える理香を無視して歩き続け、校舎の角まできた。
そう、ようやく理香を目的地に連れて来ることができたのだ。
―――目的地とは、もちろんテニスコート前。
「私帰る!」
私の手を振り払おうとする理香。
でも、私は理香の肩をギュッとつかんだ。
「このままでいいの!?岡田君のことずっと好きだったのに諦めるの!?」
つい肩をつかむ手の力が強くなる。
理香はそんな私を見て目を丸くした。
私が理香に、こんなに強く言うのは、たぶん初めてだと思う。
「理香、自信を持って。」
そして私は理香の後ろ側に行き、両手で背中をポンと押し出した。
理香はその衝撃で何歩か前に出て、振り返ろうとした。
「振り返っちゃダメだよ、理香。理香なら大丈夫だから。」
すると、聞こえてきたのは理香の大きなため息。
「さやかは見かけによらず強引だなぁ。そこまで言われたら行くしかないじゃん。…当たって砕けてけてくるよ。」
前を向いたままそう告げた理香は、大きな一歩を踏み出した―――。


