私達は大通りから細い道に入り、少し歩いたところにひっそりと佇むカフェへ入った。
中はコーヒーのほろ苦い香りや甘いお菓子の香りがたちこめている。
木製の店内はやわらかい照明の光に照らされ、
落ち着いた雰囲気で、
お客さんは少なめ。
ここはうちの生徒はめったに来ないし、
そして、
なんといってもケーキが美味しいの。
高いからたまにしか食べられないけどね…。
そんなわけで、私と理香はだいたいいつもここでお茶をする。
私達は向かい合わせに座り、早速メニューを見る。
「あぁ~、迷う~。さやかはどれにするの?」
理香はそう聞きながら、真剣な目でメニューを見ていた。
「私はぁ…、ブルーベリーのタルトにしようかな。」
「いいね!じゃあ、私はまだ食べてないミルクレープにしよっと。一口ちょうだいね、さやか。私もあげるから。」
調子よく理香がニヒヒと笑う。
「はいはい。」


