「ううん。もしかして空でも見てたの?」 私は和也君の隣に体育座りをしながら聞いてみた。 「あ、はい。雲眺めてたら眠くなっちゃって。」 そう言われて見上げると、 優しい水色の空の中を、 綿菓子のようなもくもくした雲が ゆっくりと流れていた。 そして暖かな日だまりと、頬に感じる柔らかな風。 「こんなに気持ち良かったら眠くなっちゃうよね。」 本当にこの屋上は気持ちいいなぁ。 「あ、今日はね、お礼を言いたくて来たの。」 私は和也君の目をちゃんと見て、話しを切り出した。