将太は泣き、下を向く。 「……でも、 思い出を……… 思い出さないように、 …口に出さないようにするのは、 ……もっともっと辛かった。 姉ちゃんと、父さんと母さんの思い出話、我慢しないでしたかったよぉ…。」 ―――私は何も見えてなかったんだね…。 今、 将太に大事なことを 気付かされた―――。 私は思わず将太を抱き締めた。 「…ごめんね、将太。本当にごめん。」 私は 自分のことしか 考えてなかったね……。