将太の悔しい気持ちが痛いほど伝わってくる―――。
でも、私はそんな将太を見て、黙って深く頷くことしかできなかった。
「だから、姉ちゃんは気にしないで…。父さんに買ってもらったのはボロボロだから、姉ちゃんがくれたの使うよ。ありがとう。」
将太は少し微笑んで立ち上がろうとする。
私もこんな笑い方してたのかな?
でも……何で弟なのに私にも作り笑いするの?
私は将太の手を掴んで引き止めた。
「将太…無理して笑わないでよ。…将太は、私のこと…、恨んでると思うけどさ………。一応姉ちゃんなんだから。」
2人きりの家族なんだからさ―――。
無理な笑顔を見るくらいなら、
私にあたってくれる方が楽だよ。


