時間がたつのは
早いもので…

私達にも夏が来た。



1学期終了の終業式

夏の蒸し暑さに生徒は
校長の話しなど
誰ひとり聞いていない

むしろ蒸し暑くなくても
あのながったらしい話は
教職員でさえ聞いていない


「岩崎!」

「ん?」

隣で飯島がくすくすと笑って
話しかけてきた。

こうして並ぶと
けっこう飯島は背が高い


「校長…頭」

「頭?」


話なんか聞いていなかった
私だったから、校長の事すら
見ていなかったが
飯島に言われて見てみると


「……ズレてる…」


確実にあれはズレていた。




カツラが………。



「やばくね?」


笑いを必死に堪える飯島が
また可笑しかったから
つられて笑いそうになった

それよりも校長が
カツラだったことに
唖然とした。


今だ笑い続ける飯島は
すごく幸せそうに思えた

飯島の前にいる悟にも
その話題が流れて
飯島と悟は二人で
出席番号1、2番の彼らは
校長の真ん前で笑っていた