あんなに近くにいた彼も

今年はどことなく
離れてしまった。



体育祭の日




彼と笑いあったあの時間も
今じゃまったく
目すら合わなくなっていた。




聞こえる


なぜか私は
神経を募らせているのかも。




彼の笑い声ばかり
聞こえてきてしまう。




ねぇ、飯島





去年のように
私と笑いあった過去なんて

飯島にとっては
ほんの小さな思い出の
かけらにすぎないのかな






「打ち上げ行く人~
 焼肉屋、予約するから
 行ける人教えて~」



幹事役の子が
教室内で声をかけはじめた。



クラスの多数の人が
手をあげて参加を希望した。





「華奈子行くでしょ?」

「うん、行く行く」




私は飯島も手をあげて
打ち上げに参加する事を
気づかぬうちに
目で追って確認していた。


去年みたいに
飯島と楽しく話せる
打ち上げにならないことは
分かっていたけど。




同じ空間にいれるだけで
なんだか充分だった。