「会長ぉぉぉお」



歩は始業式が行われてる講堂から一番近い職員用のトイレに迷わず入った。


普通なら多少遠くても生徒用のトイレへ行くが、耕平なら躊躇なくここを使うだろうと思ったからだ。



「あぁ?」



歩の予想はビンゴだった。


個室から聞こえた耕平の声に安堵した歩だったが、雄介の鬼の形相を思い出し再び慌てる。



「会長!校長の話終わったら出番スよ!いつ終わるかわかんないんスよ」


「大丈夫だって。校長の話は長いって相場が決まってんだよ」


「いや、そうっスけど…」



何故か自信たっぷりで余裕な耕平に歩は変な説得力を感じていた。


が、結局耕平は雄介の怒りを買うのを恐れた歩に急かされ早々にトイレを後にした。