下駄箱の近くで、ズンズン歩いていた足を止める。 「もう、意味解んない」 さっき頬に触れた櫂智の唇の感触が、微かに残っていた。 あたしは頬を優しくなぞる。 「…知ってるくせに、櫂智の気持ち」 でも知ってるからこそ、あたしは曖昧な態度はとりたくなかった。 ー…あたしには、好きな人がいる。