透明な願い



「あっ、てか怪我!!」


ハッと思い出したようにあたしは彼の手を掴んだ。


窓ガラスが飛んできたのだろう。


そこまで深い傷ではなかったが、血が滲んでいた。


「来て下さい、保健室で手当てしましょう」

「えっ、別にいいよ。痛くねーし、そんなに傷も深くない」



“大丈夫”とあたしの腕からスッと腕を引いた時、もう一度彼の腕を強くギュッと掴み直した。