予定の時間を少し過ぎ、保育園へと陽矢を迎えに行った和枝を見た保育士は、驚き慌てた様子で小走りに駆けて来た。


 和枝はそれを、自分が時間に遅れたことで陽矢がグズって迷惑をかけたのだと思いこみ、謝罪の言葉を口にしながら丁寧に頭を下げる。


 だから保育士からその言葉を聞いたとき、一瞬何を言っているのか全くわからなかった。


「大丈夫なんですか!?
ゆうこ先生から、事故に遇われたと聞きましたけど」


 事故、という言葉に、今まで感じたことのないような衝撃を受けた。


 ゆうこ先生とは、陽矢のクラス担当の、確か学校を卒業して入ったばかりの先生の名前だ。

 そういえばゆうこちゃん先生の姿も陽矢の姿も見えない。
言い知れぬ不安が和枝を襲う。


「事故……?
陽矢、陽矢は!? 怪我したんですか!?」