「そういうんじゃないわ。
佐藤さんのご家庭はお母さんがいないでしょう?
だからなのか、花菜ちゃんがゆうこ先生に良くなついて」
「花菜ちゃん……」
──そういえば佐藤には陽矢くんと同い年の娘がいたな。
その娘のことだろうと見当をつけ、話を促す。そしてそれはやはり当たっていたらしい。
園長は風間たちにもわかるように、話を進めながら言った。
「あ、花菜ちゃんっていうのは佐藤さんの娘さんね。
ゆうこ先生が大学の時に、実習で花菜ちゃんの通ってる保育園に行って、それからみたいよ。
うちの保育園にも何度か遊びに来てたから覚えているの」
──佐藤とゆうこ先生は接点があった。
ならば佐藤の言うことをきいた可能性もあるかもしれない。
そう例えば佐藤が来たのを、女が迎えに来た、と言うとか──
「だからわかるでしょう?」
「ショックでしょうね」
「そうなの。立て続けだからね……
だからあまりキツいことは言わないであげて下さいね?」
「努力します」
風間は一礼すると、なおも話足りなそうな園長に曖昧な笑みを浮かべてその場を離れた。
捕まりかけた羽田も逃れ、二人で車に乗り込んだ。



