その大きな写真ではどこかの桜の下にいる風景が映っていて、数組の大人や子どもがビニールシートの上で花見らしきものをしていた。
ふと風間の視線が止まる。
写真立てを持ったまま陽平の方を振り返り、緊張した面持ちで話し掛けた。
「これは? この花見は何かの集まりですか?」
「それは去年、支店のみんなで行った花見の写真です」
「毎年行かれるんですか? 支店で?」
「ええ。
うちの銀行は支店単位で花見をしたり納涼会をしたり、ボウリング大会や小旅行なんかにも行きます」
「ご家族で?」
「そうですね。
独身の子は彼氏や彼女を連れて来ることもあります。
……その写真が何か?」
次々と尋ねられたことに丁寧に答えながら、陽平には風間の聞きたいことが全く見当もつかないでいた。



