風間の声より早く、溢れ出す感情を抑えきれないかのように陽平は言葉を吐き出した。
「刑事さん、教えて下さい。
家内は、和枝は、浮気してたんですか?」
そのものズバリを言い出した陽平に、風間は目を剥き急くように言葉を発する。
「お心当たりがあるんですか!?」
風間の剣幕に一瞬怯んだ陽平だったが、そのリアクションにますます自分の勘への自信を深めた。
「いえ……なんとなくですが……
でもそうだとしたら、辻褄が合います」
漠然とした陽平の勘だったということに風間は意気消沈し、更に妻の浮気を確認されてしまったことに自らを舌打ちしたくなった。
勿論そんなことはおくびにも出さなかったが。
陽平は自分が辿った思考を風間に伝えた。
しかし風間はそれを静かに拝聴したのち、ゆっくりと首を振って否定をした。
「奥さんが保育園に迎えに行った、というのは無理があります。
マスクやサングラスなどで顔を隠さないとバレてしまうでしょうし、そんな変装をしてなかったというのは八巻ゆうこ先生が証言しています。
さすがにメイクだけでは誤魔化しきれないでしょう」



