課長の言葉に捜査員はチラリと風間を見て、それが……と名前を紡ぎ出す。 「妻が言うには、『榛瀬和枝に間違いない』と……」 「課長! 榛瀬和枝は陽矢の母親です!」 興奮したかのように思わず声を上げた風間に対し、課長は苦虫を潰したような顔で小さく「わかっとる」と呟いた。 「榛瀬和枝か……よし、風間。 今日はもう遅い。明日一番に行け」 そう言って返事を待たずに他の捜査員へと指示を飛ばし、一旦解散となった。