(KS)ハルカナセカイ



 和枝に限ってと思いながらも、心はぞろぞろと疑心暗鬼に凝り固まっていこうとする。


 陽矢がついていったのも、もしかしたら二人のうちのどちらかで、それを和枝は知っていたのではないだろうか。


 陽矢が抵抗せずについていったのも、常日頃から浮気相手と会い、慣れていたからなのでは?


 それに支店内の花見や納涼会などでは家族ぐるみで顔合わせをし、交流もあった。
しかも和枝は以前はうちの銀行に勤めていたのだ。
結婚して辞めたが、佐藤や金田とはその前からの付き合いがある。


 自然、陽矢もなついていた。


──だが陽矢を連れ去ったのは女だ、佐藤や金田であるはずがない。


 そこで陽平は待てよ、と思い直す。


──保育園に迎えに行ったのが、和枝だったら?


 保育園の先生はまだ新任の先生だったと記憶している。


 和枝が変装して行ったら、案外わからないのではないだろうか。


 陽矢もおかしいとは思うかもしれないが、抵抗せずについて行くだろう。


 しかし陽矢を連れて浮気相手に会ったとして、和枝は陽矢を浮気相手に預けたとでも?