「そうですか、佐藤と金田が……」
風間が黙って見守っていると、陽平は覆っていた手で顔を撫で、ふと口を開いた。
「それで二人は何で……?」
その漠然とした物言いに、何に対してなのか風間が図りかねていると、陽平は付け足すように言い直した。
「誰かに殺されたんですか?
何で殺されたんですか?」
あぁそういう意味合いで、と風間は頷いてみせた。
まだはっきりしていないと前置きした上で、動機はまだわからないことと殺された経緯を話し、心底不思議に感じたとばかりに首を傾げる。
「しかし何故、お二人が殺されたと思ったんです?
何かお心当たりでも?」
風間の問いかけに陽平は逡順し重い口を開いたが、そこから出たのは否定の意味合いの言葉だった。
特に心当たりはない、と応えた陽平は少し肩を落とし、更に年齢が進んだように見える。
風間はそれ以上何も聞けそうにないと感じたのか、羽田に目で軽く合図をすると、ゆっくりと立ち上がった。



