手帳で確認したのち、一挙一動見逃さないよう、視線は陽平へと据えられていた。
「榛瀬さんは、佐藤勝さんと金田達夫さんをご存知ですか?」
金田、という名前に陽平はほんの微かにピクリと反応をした。
しかし風間はそれには気付かなかったように振る舞い、言葉を続ける。
「もっとも、お二人ともK銀行S支店の社員だったとのことですから、ご存知だとは思いますが」
「え、えぇそうですね。
勿論知ってます」
「ではお二人がお亡くなりになったことも?」
間髪入れずに問い掛けた風間に、陽平はぽかんと口を開け、しばらくそのままでいたかと思うと、ようやく意味が飲み込めたというようにごくりと唾を飲み込んだ。
「金田がですか……?」
「ええ。佐藤さんもです」
陽平はじっと感情の見えない瞳で風間を見、そっと目を閉じて手で覆った。



