風間たちが署に到着し課に戻ると、入れ違いに数人の刑事が出て行くところだった。


 管轄の事件のことが書いてあるホワイトボードに新しい事件が書き込まれている。


 どうやらそれは殺人事件らしく、事件現場の血跡の写真が生々しい。


「佐藤 勝と金田 達夫か……」


 先ほどすれ違った彼らは、恐らく聴き込みか何かに行ったのだろう。


 風間は取り立てて気にすることなどない筈だった。


 だが吸い寄せられるようにホワイトボードに掲げられた写真を見る。

 否、写真の隣に書かれた名前の更に隣。
職業を見て暫し止まった。


「K銀行……」


 それは確か陽平の勤め先ではなかったか?


 胸ポケットから手帳を取り出し、確認する。


――間違いない。


 K銀行S支店。

 偶然か因果か。
写真の二人は、陽平の勤め先と全く同じ場所に勤務している者達であった。