署で陽矢の確認をした両親をパトカーで家まで送り、今に至る。
風間は、検死が終えたら遺体を引き渡すことを伝えた羽田から言葉を引き継ぎ、悲しみに沈む両親に向かって口を開いた。
「こんなときに何ですが……榛瀬さん方に何か思い当たるふしなどないか、今一度思い起こして頂けませんか?
そして何か思い出しましたら、何時でも構いません。ご連絡を」
陽平はそれを聞き、微かに頷く。
酷かもしれないが、こうやって無理矢理にでも何かを考えさせることで、おかしな方向に思考がいかないようにとの配慮を込めたつもりだった。
「では、我々はこれで」
そう言って立ち上がり、風間は深々と頭を下げ、榛瀬家を後にした。
止めていたパトカーの運転席には羽田が乗り込み、風間は助手席に座る。
「まだ、三歳だったんですよね……」
いたたまれなかったというかのように羽田はそう言うと、ゆっくりと車を発進させた。



