「どこがブスやねん‼お前らの目ぇ、節穴か‼」
「確かに外見はイケてるけど、それを鼻にかけた中身がブスだって言ってんの。分かった?」
「謝れや‼こいつは、そんな奴やないわ!そら、俺も最初はそない思てたけど、こいつはそんな高飛車な女やない‼ちょっと恥ずかしがり屋で、せやけど優しいとこあんねん‼たこ焼きくれたり、あれは熱かったけど、たまに素直になんねん‼」
「ハァ?馬鹿じゃね?」
「こいつには馬鹿言われてもええけどな、こいつのは愛情があるで。せやけど、お前らに言われたないねん‼」
正樹が殴りかかる。
が、
「アイス溶けちゃうよ。食べよ」
腕にしがみつく夏美の、いつにない柔らかい言葉に、凝り固まった正樹の力が抜けていく。
何度も毒づいて去っていく2人組にすら、腹が立たない様子。
「あ、わたしチョコチップ、好きなんだ」
「おぅ、なんか好きそうな気がしてん」
「そっちなに?ストロベリー?一口ちょうだい」
「お、おぅ、チョコもうまそうやな。ん?くれるんか?ほな一口」
互いのアイスを奪い合うように、しかし分け与える2人。
「そういや真琴は?帰ったんけ?」
「みたいね、無責任な。ま、いいんじゃない。居ないほうが静かじゃない?」
「あ、それ言えてるわ。本人には口が裂けても言えやんけどな」
笑い合って遠ざかる、2つの背中。
(ちゃんと聞こえてるわよ‼)
人混みの中、その背中が少しだけ寄り添っていることを見てとったわたしは、静かにその場を離れた…。



