「遅かったやないか、何しとったんや!」
凄い剣幕で詰め寄ってくる、正樹。確かに、熱いゲームで約束の時間に少し遅れたが、それほど目くじらを立てなくても。そう思ったが、ここはグッとこらえる。
なぜなら、
2人の初デートだからだ。
「で、どこいく?」
わたし右を向いて尋ねた。
「どこでもええで。行きたいとこないんか?」
左を向いて尋ね返す正樹。
だからわたしも左を向く。
「行きたいとこないの?」
「別にないわよ」
ぶっきらぼうに答えるのは、石川夏美だ。
「ないって」
また右を向く。
「ほな映画でも行く?」
「映画でも行くかって?」
「え~、退屈そう」
「退屈そうだって」
「ポップコーン食うだけでも、映画館行く価値あんで」
「ポップコーンが美味しいんだって」
「ダイエット中だし」
「ダイエット中なんだって」
こんなやり取りが、そのあと10分続く。



