「遅‼」
のっそりのそのそ、この炎天下も手伝い、今にも倒れそうな花村。
外野がボールを拾い、二塁に投げる頃、ようやくホームベースに。
(ダメだ!間に合わない)
「突っ込むのよ‼相手を押し出しなさい‼」
「え?」
なんと立ち止まった花村。
「ば、バカ!早く押し出して!部長命令‼」
最後が効いたのか、
そこから花村はホームに擦り寄り、ボールをキャッチした捕手に体ごとぶつかった。得点の有無より、捕手の災難が気の毒で目を閉じる。責任を感じないわけではないが、
2対1で9回の裏へ。
「これが最後だと思って!逆転されたら外野50周‼」
冗談には聞こえない、いつもとは違う野崎。
なぜかわたしも円陣に参加し、気合いのおかげか、野崎の脅しか、ツーアウトまで相手を追い込んだ。
「もう勝ちも同然ですね」
ホッと一安心して、笑顔を浮かべたが、まだ野崎は眉間に皺を寄せて、勝負師の顔を崩さない。
「そうやって、気を抜いた時が一番、危ないのよ。ほら!言ったそばから!」
言ったそばから、バッターが打ったボールが、ピッチャーの肩に当たり、辺りは騒然となる。
「怪我はないみたいだけど、もう投げれないわね。困ったわ……今日に限って人数に余裕がないのよ。誰か投げれそうな人は?」
互いの顔を見合っていた野球部員。
まず悠太が、次に花村が、
な、なぜにわたしを見る?



