そこに審判が待ち受けていた。


もの言わぬ運命の踏台[体重計]だ。


誰も居ない保健室、窓からは赤い夕陽が差し込み、中を明るく照らす。


「でもマジでお前、よく頑張ったな」


それだけでカッと胸が暑くなる。


(やっぱりわたしは好きなんだ)


それを肌で感じた。


顔じゃない(いや、顔もタイプだけど)、言葉でもない、心が感じる震え。理由も言い訳もいらない、真っ直ぐな気持ち。


「頑張りましたよ」


あなたが好きだから。


「けど約束だからな」


「…はい、分かってます。60kgですよね」


ゆっくりと上履きを脱ぐ。


あとは、あそこに乗るだけ。


乗れば結果が出る。


頑張った答えが、数字となって判明するのだ。


フ~と息を吐き、


「じゃ、いきます」


わたしは右足を上げ、


体重計に体を乗り上げた…。