ガラスが割れるのでは‼


超音波が混ざった大音量&英語でまくし立てる友加里の迫力に、悲鳴を上げて逃げ出す女子の群れ。


「ハウス‼ハウス‼」


留学で一段とパワーを増した、友加里の声量。


発音だって完璧だ。


「向こうは夏休みだから帰ってきてみれば、一体、どういう組み合わせなの?意外すぎるんだけど」


わたしと夏美を交互に見やる。


「石川さん、凄く仲良くなったんだ」

「想像だにできないわね」


友加里が目を細める。


審査だ。わたしの親友である友加里の合格点はハードルが高い。


しかし、そこはオーディション慣れしているデルモ。


「福島さん垢抜けたわね‼髪型変えた?」

「え?あ、ちょっとだけ変えてみたの。あんまり分からないみたいだけど」


「ここの毛先を、もっとこうホッペにかけると、ほら!顔が小さく見えるわよ。で、トップを少し膨らませて。でも元々、福島さん小顔で肌もキレイだから。よかったら向こうでセットしてあげようか?」

「やだ!いいの?あんたマジシャンみたい⁉」


2人はそそくさと出ていき、出際にわたしの耳元へ、


「なかなかいい子じゃない」