[女子トイレ]


禁断の噂が花咲き、妬みや嫉みの花粉が飛び交う、男子には計り知れない、それはそれは恐ろしい世界。


なにも知らない[アリス・真琴]は、そこに足を踏み入れてしまった。


個室から出ると、三年生の女子が三人、待ち構えていた。


「あんたね、おかしなクラブ作ったの」

「ダイエット部だって」

「馬鹿じゃない?」


三人は手を叩いて笑った。


遠くで失笑が聞こえることはあったが、こうも面と向かって嘲笑われようとは。


少しばかり動揺したが、最も効果的な対策がある。


わたしは手を洗った。


反論することもなく、無視をしたのだ。実はそれが最も、相手を逆撫でするとは気づかずに。


「あんた、朝倉先輩が好きなんでしょ?」

「ちょっとくらい痩せたからって」

「無理無理、あり得ないんですけど!」


グッと堪えていると、


「だいたい生意気なのよ!」

「なにあの空手みたいなの」

「恥ずかしくないわけ?」


ケラケラがゲラゲラに代わり、歯を食いしばって辛抱していたが、もう、もう限界‼


「あんたたちに関係ないでしょ‼」