「はい、じゃ美鈴さん。美鈴さんにはなにも言うことありません。元気な赤ちゃん産んで下さいね」


「ありがとう」


「お前、随分と扱いか違うじゃねぇか‼」


チラりと覗く、
ヤンキーの性。


「あら?ついさっき、あなたなにか誓いませんでしたか?」


片方の眉を上げて、ねめつけてやる。


言葉に詰まる新郎に笑いが起き、手拍子とともに[キス]の合唱が。


こうなると仕返しとばかりに、


「よく見とけよ」


一馬が美鈴に口づけを。


わたしのまさに目の前で、


(な、長くないですか?)


真っ赤な神父をよそに、ケーキ入刀が行われ、チエの気持ちのこもった手料理に胃袋が満たされ、音楽室は温かい雰囲気で包まれる。


「お腹空いた~」


忙しさに追われて、なにも食べていない。


先ほど引っ込めた手が、再び伸びようと?


(ク、クラッカーがないではないか‼)


一発、太志にお見舞いしてる‼


鼻息荒く拳を振り上げたのだが、


「今日はありがとう」