[人]っていう字。


人と人が支え合っている形を表した字だという。人は一人では生きられない。一人では限界があり、なにか大きなことをなし得るには、他の人の協力が必要だ。


1+1=2だけれど、


人+人=無限だ。


だからわたしは、協力を求めて学校中を行脚する。


まず始めに向かったのは、


「野崎先生」

「あら細井さん、今日も頑張るわよ‼」


俄然やる気の、野崎先生。


俄然やる気になるには、それ相応の理由がある。そう野崎本人が言っていたではないか。


だからわたしは先生の顔をジィ~と見やり、


「計りましたね?」

「え⁉」


身を震わせた野崎のリアクションはまさに[ギクッ⁉]だ。


「まさか、ご飯、食べるの我慢してませんよね?」

「えぇ⁉」


ギクッギクッ⁉だ。


「先生、何度も言うように、焦らないで下さい。ゆっくり時間をかけて一年間、です」

「もう、分かったわよ~」

「で先生、お願いがあるんです」

「なに?」

「先生、オルガン弾けますよね?」