「沢山、水分補給はして下さい!お水は少なくても2Lから3Lは飲むこと。それからレーズンも忘れないで!でも一番大事なのは、気楽に楽しんでやること!」


タオルで額の汗を拭きながら、皆の顔を見回すと、皆が皆、は~い!と返事を返してくれ、どの顔にも苦悩が浮かんでいないのが収穫だ。


またもや約一名を除き。


グッタリと地べたに座り込んでいる野崎に、お疲れ様と声を掛け、


「先生、きつかったら30分でも構わないんですよ。ただ、今日のビールは最高でしょうね」


「一杯くらいはいいの?」


「二杯でもどうぞ」


「三杯はダメよね?こんなに頑張ったんだもん」


「それは先生にお任せします。でも、これを一年続けたら、ビールのカロリーより、体が消費するカロリーのほうが多い体質に変わりますから、三杯飲んでも太りませんよ。てか、三杯でも痩せるかな」


軽く励ましたつもりがだ、野崎は勢いよく立ち上がり、


「あなたについてくわ‼」


そう手を握られる。


「あなた、そっちの方面に進んだら?」


「そっちの方面?」


首を傾げる。


「そうよ!すごく説得力があるし、人をやる気にさせる力を持ってる。それは才能の一つだわ」


「才能…」


野崎の言葉を噛み締める。